「靴を履かない生活」何のために? インドネシアで本人に聞いた
社会課題を動画で発信する「RICE MEDIA」がインドネシアで、家の中も外もずっと裸足で生活する男性に会いにいきました。なぜ? 代表の廣瀬智之さんが伝えます。
社会課題を動画で発信する「RICE MEDIA」がインドネシアで、家の中も外もずっと裸足で生活する男性に会いにいきました。なぜ? 代表の廣瀬智之さんが伝えます。
社会課題を動画で発信する「RICE MEDIA」とwith Planetがコラボ。ショート動画を4本、SNSで配信しました。RICE MEDIA代表の廣瀬智之さんが、インドネシアでの取材の裏話や思いをつづります。第3回は「11年間裸足で生活する男性」についてです。
「10年以上、チャリティー活動のために裸足で生活している人がいる」。そんな情報を耳にし、インドネシアのバリ島に住むその人に会いに行くことにした。
その人の名はゴビンドさん。バリ島のデンパサール国際空港から車で走ることおよそ30分。ゴビンドさんの自宅に伺った。
「ようこそ!」と玄関先に出てきたゴビンドさんを見て、注目したのは足元。この日もやはり靴を履かずに生活しているようだ。ゴビンドさんは優しい雰囲気を醸し出す人で、今はヨガやマインドフルネスのインストラクターとして仕事をしているという。
ゴビンドさんが靴を履かずに生活するようになったきっかけ、それは貧困家庭を支援するチャリティー活動を知ったことだ。靴を買うことができないほどの貧困に直面する人たちへの共感を示し、靴を履かない生活を送ることで、寄付を集めるこの活動。もともとインドネシアの貧困問題に対して、何か自分にできることがないかと考えていたゴビンドさんは、自分も取り組むべきだと感じたという。
しかし実際に靴を履かない暮らしを送るとなると、生半可な覚悟で挑めるものではない。ゴビンドさんもチャリティー活動を知ってから実際に靴を履かない生活を送るまでは、約1年の時間が必要だったと話す。今はもう裸足の暮らしが日常になったようで、たとえ雪山でも飛行機の中でも、ショッピングモールでも、どこに行くのも靴を履かないのが当たり前だ。
僕自身も試しに裸足で歩いてみた。取材に行った時は非常に暑く、アスファルトを裸足で歩けばやけどしてしまうような気温。すぐに跳びはねてしまうほど熱かったのだが、ゴビンドさんは余裕の表情だ。「僕でも立ち止まるとさすがに熱いよ。歩き続けるのがコツさ」と、コツを伝授してくれたが、歩き続けたとしても我慢できる熱さではなかった。ゴビンドさんは、本当に裸足の暮らしを続けているのだということを私が保証する。
中には、靴を履かなくてはならない施設もある。そんな時に活躍するのが、靴の底をくりぬいたオリジナルの「裸足シューズ」。実はこの11年間で裸足で入ることを禁止された場所は、たった2カ所のみだったという。気になるその2カ所を聞いてみると、なんと一つは日本の某有名テーマパークだったという。世界中を旅することが好きなゴビンドさんが、裸足を禁じられたのが日本だったという話は「日本っぽい」と感じた。
取材の最後にゴビンドさんにいつまでこの暮らしを続けるのかと聞いてみた。質問に対して「決めていないけど、きっと一生このままなんじゃないかな」と話す笑顔が非常に印象的だった。