社会課題を動画で発信する「RICE MEDIA」とwith Planetがコラボ。ショート動画を4本、SNSで配信しました。RICE MEDIA代表の廣瀬智之さんが、インドネシアでの取材の裏話や思いをつづります。第2回は「ごみ銀行」についてです。 

今回はインドネシア発祥のごみ問題に対する取り組み、「ごみ銀行」を取材した。

欧州や日本でも注目の高まる、リサイクルやリユースを含む「循環型社会」。インドネシアは世界第2位の海洋プラスチック排出国であり、正直、ごみ処理という視点では先進的な取り組みをしているイメージはない国だった。

そんな中、with Planetの編集部から、インドネシアでリサイクルを推進する「ごみ銀行」というユニークな取り組みがあると教えていただき、そのキャッチーなネーミングに引かれ、ぜひ一度現地を見てみたいと取材をすることとなった。

印象的なネーミング

「ごみ銀行」とは、市民が集めたごみを重さに応じて買い取り、口座に振り込む。買い取ったごみは業者に卸す、というシンプルな仕組みだ。参加している市民も多いようで、取材した銀行にも段ボールや厚紙を袋いっぱい集めて持ってくる人や、大量のペットボトルを持ってくる人など、1時間で5人ほどの利用者が訪れていた。

買い取り金額はペットボトルは1キロ18円、アルミ缶は1キロ50円。そこまで高価ではないが、インドネシア人の平均月収が約3万円であることを考えると、決して馬鹿にできる額ではない。実際市民からも好評なようで、利用者は車を買うために貯金したり、生活費の足しにしたりと、目的はさまざまだ。

「缶を集めたら買い取ってもらえる」という仕組みは日本でも存在する。日本と異なるのは、その仕組みを広げるための仕組み、マーケティングがうまいという点だろう。「ごみ銀行」という名前は、印象に残りやすく、ごみでお金が貯金できるという仕組みを連想しやすい。人に紹介するときも、分かりやすい名前があった方が話しやすく、仕組みを定着させる上で大きな役割を果たしているように感じる。

インドネシアの人たちの温かさ

また今回の取材では、インドネシア人の温かさ、日本人に対する印象の良さを感じた。ごみ銀行のスタッフは我々取材班のために、たくさんのマンゴスチンやライムを用意してくれたり、冷やしたココナツジュースを振る舞ってくれたりした。

雨期に差し掛かり蒸し暑いインドネシアで、これらのフルーツは格別においしいものだった。また、ごみ銀行の利用者にもとても温かく迎えられ、アニメや日本食の話でとても盛り上がった。その温かさは、今回の滞在でも特に強く印象に残っている。