社会課題を動画で発信する「RICE MEDIA」とwith Planetがコラボ。ショート動画を4本、SNSで配信しました。RICE MEDIA代表の廣瀬智之さんが、インドネシアでの取材の裏話や思いをつづります。第1回は、ごみ収集に取り組む地元NGO「スンガイウォッチ」についてです。

今回はインドネシア・バリ島で海洋プラスチックごみの収集に取り組む、地元のNGO「スンガイウォッチ」を取材した。

昨今世界でも注目されている海洋プラスチック問題。世界2位の海洋プラスチック排出国でもあるインドネシアでは、どのような問題が起きているのか。またどのような解決策が生まれているのかを知りたいと思い、現地を訪れた。

今回の取材で何よりも衝撃的だったのが、自然の中に捨てられているごみの量だ。動画で紹介したように、スンガイウォッチは、ごみを回収するフローターの設置に取り組んでいるが、その他にも様々な場所の清掃活動に取り組んでいる。今回は、山の中に捨てられたごみを回収するということで、現場に同行させてもらえることになった。

山に捨てられたごみの現状は......

そこで目にしたのは、山肌に敷き詰められたおびただしい量のごみ。実際に落ちていたごみを集めてみると、ペットボトルやお菓子のごみといった使い捨てプラスチックごみや、中には使用済みのおむつなど、非常に臭いがきついものも埋もれていた。雨上がりの蒸し暑く、ぬかるんだ土、たくさんのハエや蚊が飛び交うような劣悪な環境。10分もごみ拾いをすれば、すぐに顔が汗でびっしょりと覆われてしまうほどだ。

その中で少しでも多くのごみを取り除こうと活動するスンガイウォッチのスタッフや、参加するボランティアを見て、ただただ頭が下がるばかりだった。

なぜごみは正しく捨てられない?

山肌にごみが大量に捨てられている様子を見て、なぜバリ島ではごみが正しく捨てられないのか疑問に思った。スンガイウォッチのスタッフに聞いてみると、日本と同様にごみ収集車による家庭ごみを回収する仕組みはあるようだ。ただ、決まった日に収集車が来ないこともしばしば起こるようで、人によっては家の近くに捨てたり、家庭で燃やしたりする方が楽だと感じてしまうのが実態のようだ。

清掃活動の現場のすぐ下には川が流れており、強い雨が降ればごみが海まで流されてしまうような場所だ。海に流れ出る前に未然にごみを回収することは、海ごみを減らす上では非常に重要な活動といえるだろう。しかしその中身は、想像以上に草の根的で、根気のいる内容だった。

スンガイウォッチは世界のメディアに取り上げられたり、海ごみを回収するフローターを開発したりと、一見華々しい活動をしているようにも思える。しかし、目の前にあるたくさんのごみと向き合い続ける地道さこそが、スンガイウォッチの本質なのだろうと感じる取材だった。