グローバルヘルスやジェンダー問題、人権問題や食料不安。世界にも、日本にも、これらの課題を解決すべく活動している人がいます。NGOをはじめとする「現場で働く人」をゲストに迎えるポッドキャスト「地球で働く!」。第7回では、特定非営利活動法人ジェン(JEN)の木山啓子さんをお招きしています。ポッドキャスト本編はSpotifyApple Podcastで配信しています。

with Planetのポッドキャスト「地球で働く!」の第7回では、ジェン(JEN)事務局長の木山啓子さんをゲストにお招きしました。

JENは、紛争や自然災害によって厳しい状況にある世界各地の人びとに支援活動を行う国際NGO。木山さんは「たまたま」国際協力の分野で活動するようになり、旧ユーゴスラビアをはじめとする世界各地で難民支援活動に従事しています。

言語や文化の違いを乗り越え、現地スタッフと協力しながら、心の復興支援や自立支援に取り組んできた木山さん。ポッドキャスト本編では、with Planetの藤谷健シニアエディターが、現在大学3年生の藤原梨乃さんとともに聞き手を務めています。

この記事では本編の一部を、読みやすいように編集してお届けします。

ジェン(JEN)事務局長の木山啓子さん=東京都中央区、編集部撮影

NGOだからできることって?

木山さんが現在理事・事務局長を務めるJENの前身が設立されたのは、1994年。それから今に至るまでの間、木山さんのなかでNGOというものに対する認識に変化はありますか?

当初は世間的にも「NGOってなに?」という状態で、私もそうした認識をしているひとりでした。実際に参加してみると、最初に活動していたネパールでも、その次に行った旧ユーゴスラビアでもチェチェンでも、あらゆることを自分自身で作っていかなければならない状況でした。

それは、言い方によっては、実力を発揮するチャンスがあるということ。悪い言い方をすれば「何も整っていない」ということになりますが、やる気さえあればどんなことも自由にできるわけです。被災された方、難民の方が必要とすることに注力できる組織なのだと思いました。

その後しばらくして気がついたのは、NGOが単独で活動しているわけではないということ。国連機関がそれだけで実施していることは実は少なくて、NGOに発注するなどして、連携していることも多いと知りました。

─なるほど。

NGOの活動内容そのものも、1994年当時から比べると、今は大いに進化してると思います。

個人的な印象ですが、NGOの活動の多くが募金によるものだというイメージがあります。だからこそ、資金不足によって活動を維持できなくなってしまう可能性もあるのではないでしょうか。持続性や影響力は、国連機関や行政機関に比べるとやはり小さくなってしまうのではないですか?

おっしゃる通り、NGOの活動が寄付によって成り立っている部分は大きいです。寄付がなくなれば活動を続けられない可能性もあるでしょう。ただ、国連機関も国の組織も、お金の問題は常につきまといます。

国の組織は、どうしてもその国の国策に影響されます。目の前に支援を必要としている人がいても、その人たちが自国の政策としてサポートするべき対象でなければ支援自体が難しい、ということもありえます。

──NGOは国から独立した組織だからこそ、支援を必要としてる方に助けを届けることができる。

そういうケースがあるということですね。国には必要なことができないという意味ではありませんが、そういうケースは少なくないと思ってます。(続きはPodcast本編で。Spotify / Apple Podcast

木山啓子さん

大学卒業後、電機メーカーなどを経てニューヨーク州立大学大学院(社会学)修士課程修了。JEN創設に参加し、1994年より旧ユーゴスラビア現地統括責任者として6年間駐在。旧ユーゴでは述べ14カ所の事務所を立ち上げ、約500名に及ぶ現地のスタッフを統括した。2005年エイボン功績賞受賞のほか、「日経ウーマン誌ウーマン・オブ・ザ・イヤー2006大賞」を受賞している。