ガザでみたこと、いまできること 「国境なき医師団」白根麻衣子さん
「地球のためにできること」に従事する方々にお話を聞くwith Planetのポッドキャスト。第2回では、第1回に続き「国境なき医師団」のお仕事にフォーカスします。

「地球のためにできること」に従事する方々にお話を聞くwith Planetのポッドキャスト。第2回では、第1回に続き「国境なき医師団」のお仕事にフォーカスします。
with Planetのポッドキャスト「地球で働く!」では、NGOをはじめとする「現場で働く人」をゲストに迎え、仕事にかける思いをお聞きしています。配信中の第2回では、第1回に続き「国境なき医師団」の白根麻衣子さんをお招きし、自らのガザでの体験をお話しいただきました。ポッドキャストはSpotify、Apple Podcastで配信しています。
「国境なき医師団」の一員である白根麻衣子さんは昨年、イスラエルとハマスの衝突が激化するガザ地区でアドミニストレーターやプロジェクトコーディネーターとして活動し、日本に帰国してからは、様々なメディアで現地の過酷な状況を訴えてきました。
第1回では、白根さんがこの仕事をなりわいに選んだ理由ややりがい、さらにはそもそもこの仕事でどれだけの収入を得ているかをお話しいただきました。配信中の第2回では、派遣先のガザで感じたこと、思ったことをお聞きしました。
聞き手は引き続き、with Planet編集部の竹下由佳編集長と、大学生の亀田青空さんが務めています(記事では本編の一部を、読みやすいように編集してお届けします)。
──ガザに入ってまず感じたことは。
この数年、今まで私が活動してきた地域で戦争がどんどん悪化しているのを見ていると、どうして戦争が始まってしまうのか、そして止められないのかと感じずにはいられません。
戦争は本当にあってはならないものですし、特に今回は、目の前で戦争を体験することになりました。「今まであった日常」って、本当に一瞬で崩れてしまうと感じました。
──本当にそうですね。
ガザは(2023年)10月7日以前も「紛争地」ではありました。が、今ほどひどい状況ではなく、子ども達は元気に学校に行き、大人は毎日仕事に行っていました。
ガザは地中海沿いに位置するので、海沿いがきれいなんです。だから、週末になると皆でレストランに行ったり夕日が沈むのを見たりという、楽しい時間を過ごしていたんです。
本当にささやかな日常、幸せな日常が、戦争によって一瞬にして崩れていくのを、目の前で見てしまった。
──白根さんはウクライナでも活動のご経験がおありですよね。
はい、そうです。今まで三つの国に派遣されていて、1回目がウクライナで、2回目がガザ(2018〜2019年)。2019年暮れにアフガニスタンに派遣されたのち、2023年に再びガザに行きました。
──いずれも本当に政治状況が不安定な地域です。派遣先は自分で希望されたのですか?
国境なき医師団では、実は行く場所を自分で選べないのです。(派遣先から)打診があるのが前提で、ニーズがある場所に派遣されるというかたちです。
「いつからいつまで行ける」と伝えておくと、人事の担当者が空いているところを探してくれて、今この国で求められている条件とあなたの経験、スキルがマッチしているけれど、どうですか?と連絡がきます。
──なるほど。
派遣先については事前に様々な情報を提供されます。私は今まで、それらの情報を見る限り、自分にとっては危険を感じたり疑問に思ったりすることがなかったので、常に「行きます」という返答で。実際に、命の危険を感じることはほぼありませんでした。もちろん、政治情勢が不安定で外出ができないことや、内戦が始まったからしばらく待機する、ということはありました。
今回のガザ以外で、「命の危機」を身をもって感じたことはありませんでした。だからこそ、ガザでの10月の出来事は本当に衝撃的でした。(続きはPodcast本編で。Spotify / Apple Podcast)
白根麻衣子さん
大学卒業後、銀行にて個人営業に従事。退職後、日本とイギリスで修士課程修了。インターナショナルスクール勤務を経て、2016年、国境なき医師団日本事務局の人事・総務担当として入職。2017年より、アドミニストレーターとして海外現場での活動に参加。これまで、ウクライナ、パレスチナ・ガザ地区、アフガニスタンのプロジェクトで活動。(国境なき医師団ウェブサイトより)