社会起業家を応援する仕事とは? 「ARUN Seed」功能聡子さんに聞く
「地球のためにできること」に従事する方々にお話を聞くwith Planetのポッドキャスト。第3回では「社会起業家を応援する」お仕事にフォーカスします。

「地球のためにできること」に従事する方々にお話を聞くwith Planetのポッドキャスト。第3回では「社会起業家を応援する」お仕事にフォーカスします。
グローバルヘルスやジェンダー問題、人権問題や食料不安。世界にも、日本にも、これらの課題を解決すべく活動している人がいます。NGOをはじめとする「現場で働く人」をゲストに迎えるポッドキャスト「地球で働く!」第3回は、ゲストに「ARUN Seed」の代表理事、功能聡子さんをお招きしてお送りします。ぜひ、ポッドキャスト本編をお聞きください。ポッドキャストは、Spotify、Apple Podcastsで配信しています。
NGOやJICA、世界銀行などでの業務を通して復興・開発支援に携わってきた功能聡子さんが「ARUN」を創業したのは2009年。2014年には特定非営利活動法人「ARUN Seed」を設立し、社会起業家への資金調達を通して社会的課題の解決を目指しています。
with Planetのポッドキャスト「地球で働く!」の第3回で聞き手を務めたのは、藤谷健シニアエディターです。今回は同じく聞き手として、現在大学4年生の渡邉志保さんも参加しています。
藤谷シニアエディターには実は、功能さんと同じ大学で学んでいたという共通点が。そして、渡邉さんも世代こそ違えど同じ大学に通い、さらにARUN Seedでインターンシップを経験しています。
ポッドキャスト本編では、前後編の2回に分け、功能さんに社会起業の意義や、ご自身のお仕事についてお伺いしました。記事では本編のごくごく一部を、読みやすいように編集してお届けします。
──ARUN Seedでは、ビジネスコンペティション(「CSIチャレンジ」)を実施していますよね。世界から様々な企業が参加していると思いますが、どんなビジネスが発表されたのでしょうか。
ジャンルもビジネスモデルも、本当にいろいろですよ。注目したうちのひとつで、「女性のエンパワーメント」を謳(うた)う企業がありましたが、「女性のエンパワーメント」というと皆さんはどんなイメージをもっていますか?
──やはり、女性の雇用を促進したり社会的地位を向上させたりという取り組みでしょうか。
そうですよね。私が注目したネパールの企業は、女性に護身術を教えるという取り組みをしていました。
──それは、文字通り「エンパワー」という感じですね。
ええ(笑)。でも、単に「戦う力」を身につけるってわけではないのです。そもそもは、目が見えない女性が性被害に遭う確率が非常に高いという課題を解決しようとしたようです。そして、その起業家は合気道を習っていて、合気道を使った護身術を教えるっていうことを始めました。
──なるほど。
合気道を身につければ、自分の周りの状況、気配を感じることができるというのです。だから、プログラムの受講者は、まず異変や不審者などを感じ取る「感覚」を養うことができる。さらに、何かが起きた時、それに対して断固とした態度をとることができるようになる。自分自身が自信をもって、他者からの行為に対してノーと言えるようになる。最後に、どうしても危害を加えられそうになった時に、自分で守ることができる。
──身を守るための3段階のプロセスを提供しているわけですね。
詳しく説明すると、そのステップはこれら3段階だけではないのですが、そういった訓練プログラムを提供しているうちに、目が見えない人だけではなく目が見える女性にとっても、さらには男性や子どもにとっても有効だということがわかってきたというのです。
自分が自信を持てること、自分の周りに気を配れることで、人として生きるための土台になる力を養える。そういうプログラムに育っているというのが興味深いですよね。
功能聡子さん
国際基督教大学、ロンドン政治経済大学院卒。民間企業、アジア学院を経て1995年より10年間カンボジアに在住。NGO、JICA、世界銀行などの業務を通して、復興・開発支援に携わる。カンボジア人の社会起業家との出会いからソーシャル・ファイナンスに目を開かれ、その必要性と可能性を確信しARUNを設立。日本発のグローバルな社会的投資プラットフォーム構築を目指して活動している。(ARUN Seedウェブサイトより)